走る分だけの保険料体系
走行距離によって保険料が変わる自動車保険がありますが、一体どういう仕組みなのでしょうか。
自動車保険の中には、年間走行距離により保険料が変わる商品が増えています。
走行距離が短いほど事故に遭うリスクは低くなるので、保険料もそれだけ安くなるのです。
逆に言うと、年間走行距離が長い人にとっては保険料が高くなりやすいです。
誰にとってもお得な仕組みというわけではありません。
さて、代理店型自動車保険のほとんどは加入申し込みの時に走行距離事態を申告する必要がありません。
では、年間走行距離によって保険料がどのくらい違うのかソニー損保の例を挙げてみます。
補償内容は同じままで年間走行距離を5,000km、10,000km、20,000㎞と変化させて保険料の見積りをシミュレーションしました。
・5,000km~27,000円
・10,000km~33,000円
・20,000km~41,000円
金額の差は結構大きいですね。
このタイプの自動車保険では、年間走行距離は告知義務です。
虚偽の告知をしたら保険料が支払われなかったり、契約を解除されてしまう恐れがあります。
年間走行距離によって保険料が変わる自動車保険では、年間走行距離は告知事項になるので認識しておきましょう。
告知事項は保険会社が申し込みを引き受けるかを判断したり、保険料の金額に関わる重要な事項です。
加入・更新の手続きの時に年間走行距離を申告しますが、大抵は前年の実績を自己申告します。
自己申告ですから、加入するときには嘘をついてもバレません。
しかし、事故が起こって保険会社に保険金を請求すると保険会社から損害調査が入ります。
その時にウソの告知がバレてしまい、加入者はオロオロするはずです。
ウソの告知が発覚したら告知義務違反になり、保険金が出なかったり契約を解除されてしまいます。
最悪の場合、詐欺罪に問われますから気をつけましょう。
また、告知した内容が事実と異なっていたら直ちに告知義務違反になるわけではありません。
故意または重大な過失によってウソの告知をした時に、告知義務違反に当てはまります。
したがって、誠実に告知をし必要に応じて車を使った結果、告知した年間走行距離を上回ったとしても告知義務違反にはなりません。
ただし、自動車保険によっては年間走行距離の変更を損保会社に通知しなければなりません。
そのため、保険料が増えることも考えられます。
加えて、加入・更新するときに年間走行距離は5,000km~7,000kmというように距離の範囲を告知します。
車の走行距離が前年より増えたとしても、告知した距離の範囲内に収まっていれば予定通りの走行距離だったということになります。
走行距離が増加して、告知した走行距離区分をまたぐかが分かれ目です。
ダイレクト型自動車保険の大半では、加入・更新の時に年間走行距離を告知しますが、細かく見ると2つのタイプに分かれます。
「前年の実績を申告するタイプ」
今後1年間の予定ではなく、過去1年の実績を保険会社に申告するタイプです。
走行距離メーターの数字の申告を求める保険会社も複数あります。
このタイプは、今年の走行距離が前年を大きく上回ったとしても、それを保険会社に申告する義務はありません。
当然、年間走行距離が伸びたことによる保険料のアップもありません。ダイレクト型自動車保険のほとんどはこのタイプです。
「今後1年間の走行距離を申告するタイプ」
過去1年間の実績ではなく、加入または更新後1年間の走行距離を申告するタイプです。
申告するのは予定なので、もし予定が大きく変わったら速やかに変更手続きをする
義務があります。
そして、走行距離区分をまたぐことになったら保険料は増額されます。
この方式を採用しているのはアクサダイレクトやチューリッヒ保険です。
どちらもヨーロッパを母体とする損保会社ですが、あちらではこの方式が主流なのでしょうかね~。
仕組みとしては筋が通っていますが、少しめんどくさい気もしないわけでもありません。
つ~か、悪気がなくても変更手続きを怠ってしまいそうですね。
また、予定より年間走行距離が短くなっても保険料を払い戻してくれるわけではないので、不公正な仕組みとも捉えられます。
しかし例外があります。
同社の自動車保険では、実際に走った距離が同社が決めている走行距離区分の上限より1,000km以上少ない時は、その差額保険料を翌年の保険料から割引いてくれます。
この仕組みをくりこし割引きと呼んでいます。
走った分だけの保険料体系というタイプの自動車保険としては、最も進化していると言えるかもしれません。
もっとも、翌年の保険料から割引くということは、次の更新で他社に乗り換えたらくりこし割引きを受けられないというデメリットがあります。
いずれにせよ、良し悪しがあるのが実情のようです。
ただ、車にあまり乗らない人などは、このような仕組みがあるダイレクト型自動車保険のほうがメリットを享受できそうだと思います。
ダイレクト型自動車保険も競ってユーザーにアピールしていますから、一つひとつしっかりと見比べてから契約することが望ましいですね。