対人賠償保険適用の注意点
子供やお年寄りが親族の運転する車に轢かれた場合というような、ショッキングな事故のニュースを見かけることがあります。
しかし、このようなニュースを見た時に、「もし自分にも事故が起こってしまったら?」と考える人はあまりいないようです。
実際、このような事故の際にどのような保険が使えるのか、またそうした事故に対して自動車保険の補償は備えてあるか、というような問いにしっかり答えられる人は稀です。
対人賠償保険がカバーしてくれると思っている人が多いのですが、通常は適用外となってしまいます。
具体的には、親が自分の子供にけがをさせた時、賠償請求する人と賠償責任を負う人が同一になってしまうからです。
そのあたりを詳しく見てみましょう。
まず、対人賠償保険が支払われるには法的に賠償義務を負うことが前提になります。
単純に考えてみるとわかりやすいのですが、通常子供が事故でケガをした時、その被害の損害賠償請求権はその子供の親になります。
親の運転が原因の事故で子供にけがをさせた場合、治療費等を払う責任を負う人と請求
する人が同じになるので、対人賠償保険は利用できないとなります。
また、一般的に親や親族に対しても同様の見解が示される場合もありますが、生計や住まいが一緒であるかなど、個別に検討する必要があるでしょう。
加えて、夫婦であっても他人と示された例もあるので、家族全てに当てはまるというわけではありません。
同一世帯で生計を一緒にしているといった見方も根強く、家族内での賠償は難しくなっています。
自分の運転で家族がケガをするのは車外に降りているときよりも、走行中のほうが確立が高くなります。
いわゆる単独事故による搭乗中のケガ等ですが、このような時には運転者自身も含めて
家族を守るための保険が必要です。
その場合、搭乗者傷害保険に加入しているケースですが、治療費等の費用を補償してもらえる人身傷害保険を付帯しておくとより手厚い補償が得られます。
人身傷害保険には車外で起きた自動車事故によるケガを補償する特約もあるので、それを付帯しておけば万が一家族が車外で受けた事故でも補償の対象となるわけです。
大切な家族がケガをする前提の事故を考えたくないのはみなさん同じだと思いますが、
万が一の際に自身や家族を守るのが保険の基本的なスタンスだと言えます。
ところで、対人賠償保険はスタンダード化されており、強制保険をベースに加入しているのが常識です。
すでにお分かりの通り、他人への賠償義務が発生した場合、運転者に代わって支払うのが対人賠償保険です。
反対に、対人賠償保険は身内には全くと言って機能しない保険ですから、自分と家族については別の補償が必要ということになります。
同じ形態の事故であっても、他人と身内で保険適用の有無があることを覚えておきましょう。